私たちは力学的手法を用いて身体運動の原理・原則・仕組みを明らかにし、得られた知見を福祉機器・スポーツ用品の評価手法を確立したり(たまに開発も)、身体トレーニングや臨床リハビリテーションに応用することを目指しています。特に、ヒトの歩く・走る・跳ぶという空間移動(ロコモーション)を研究対象にしています。以下は現在進行中の研究プロジェクトです。

下肢切断者における非対称歩行と過負荷蓄積の定量評価

事故や病気によって下肢の切断を余儀なくされた場合,義足は日常生活を送るうえで欠かすことのできない福祉機器と言えます.こうした義足は個人ごとに適合させることが難しく,歩けるようになったとしても,補償動作を含む左右非対称な歩容になることが広く知られています.こうした非対称歩行は、非切断側における過負荷蓄積を通じて,筋骨格系に深刻な二次障害を引き起こします.我々の研究室では,下肢切断者の歩行を分析することで,歩行メカニズムの解明に挑戦するだけでなく,歩行リハビリテーションの提案や,動力義足の開発にも携わることで,下肢切断者のQOL向上を目指した研究を行っています.

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CFRP製スポーツ用義足の生体力学特性

1990年代前半に開発されたスポーツ用義足(Running-specific Prosthesis: RSP)は,いまやパラスポーツを代表する福祉機器の一つになりました.こうしたRSPの多くは炭素繊維強化プラスチック(CFRP)で製造されており,下肢切断者における運動機会を飛躍的に広げました.その一方,RSPを使用する義足アスリートの生体力学特性には不明な点が多く,パラスポーツの科学的支援も決して十分ではありません.我々の研究室では,パラスポーツの競技力向上やランニング時の障害リスク評価に関する研究を行い,下肢切断者の運動機会創出に貢献すことを目指しています.

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身体運動における下肢のバネ的振る舞いとその制御

歩く・走る・跳ぶというヒトの基本的な身体運動において,私たちの下肢はあたかもバネのように振る舞います.このバネ的振る舞いは移動速度や運動リズムによって変化するだけでなく,トレーニング履歴やシューズ特性,ケガの有無によって短期的あるいは長期的に適応することが知られています.我々の研究室では,こうした身体運動における下肢のバネ的振る舞いがどのような条件下で変化するのか,そのメカニズムを解明することで,運動・トレーニング方法やリハビリテーションの提案を行います.また,将来的には人工筋や短下肢装具,ランニングシューズへの応用も視野に入れて研究を行っています.

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オープンデータを利用したロコモーション研究 ****

これまでの生体力学研究の多くは,ラボや臨床現場,あるいは日常生活環境下で実際にデータを計測し,取得したデータを分析することで,その知見を蓄積してきました.しかしながら近年では,このようにして取得したデータを広く一般に公開するオープンデータ化が進んでいます.ヒトの歩く・走る・跳ぶという空間移動(ロコモーション)研究も例外ではなく,現時点で非常に多くのオープンデータが存在し,今この瞬間も新たなデータが公開されています.これを利用すれば「どこにいても,ノートパソコン(とネットワーク)さえあれば研究ができる」というユニークな研究スタイルを確立できます.我々の研究室では,こうしたオープンデータを積極的に利用して,ヒトのロコモーションを研究しています.

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